子どもたちの元気な姿を見ると、私たち大人は元気づけられます。小中学校のスクールカウンセリングや当院での子どもたちのカウンセリングを通して、私たちの側が元気づけられることがよくあります。
小学生の子どもたちから、「友だちと遊べるから学校大好き」などという声を聞くと、周囲の大人、親や先生は嬉しくなって安心するものです。「願わくば、ずっと元気で幸せであって欲しい」と誰もが望むものです。
しかしながら、仲間関係において、すれ違いやケンカはつきものでもあります。学年が上がっていけばいくほど、トラブルの内容もややこしくなっていきます。「○○君の方が悪いのに僕が責められた」「わかってもらえなかった」「いじわるされた」「はぶられた(仲間はずれにされた)」という体験は、子どもたちにとって、ケガをするような心の痛みとして感じる出来事になります。
そんな時に、親や先生など周囲の大人の誰かが「つらかったね」「悔しかったね」と気持ちを受け止めてくれると、子どもは「自分は大切にされる存在なんだ」と感じて、安心することができます。「受け止めてもらえる」実感が持てると、たとえ嫌な出来事があった場所であっても、再び足を向けることができるようになります。逆に、頭ごなしに「お前が悪い」と気持ちを否定されてしまったり、話を聴いてもらえなかったりすると、子どもたちのストレスが高まり、時には後々まで心に残る傷(トラウマ)を残すことになります。「二度と学校には行かない」「誰も信用できない」と、閉じこもってしまうこともあります。
大人たちが多忙な毎日の中で余裕を無くしている時代ですが、あえて少しでも子どもたちに優しいまなざしを向けることができれば、子どもたちの元気な姿を見続けることができて、疲れた大人の方も癒やされるものだと思います。